灯台下暗し編 岡崎 瀧山寺
こんにちは、みろっくです。
いきなりですが「仏像旅」をはじめることにした。思えば、みうらじゅんさんの「見仏記」を読んでから幾星霜・・・機が熟し?いよいよ実行の時を迎えることができた。
MJ(みうらじゅんさん)の「東海美仏散歩」によれば、岡崎の瀧山寺に、運慶作の美仏がおられるという。岡崎って、すぐ近くだがね。第一弾は、ここに決まりだ。
写真で見る限り、木造とは思えない質感で、色彩も美しい。鎌倉時代の重要文化財だという。なにしろ運慶なんだし、さぞかし有名だろうと、今回無理やり仏友にされた岡崎生まれの同行者に聞いてみた。
ねーねー、瀧山寺って知ってる?美仏があるみたいなんだけど
ビブツって何よ??そういや瀧山寺っていえば、住職が中学ん時の社会の先生だったはずだけど
まずは参拝
まずは、本堂へ。急な階段の先にある本堂は、桧皮葺の屋根で、歴史の長さを漂わせている。本尊の薬師如来は秘仏で、50年に一度しか開帳されないらしい。次回開帳は、平成50年とある・・・万が一、無事にそこまで生きていたらぜひ参拝したい。
その横には、江戸時代に建てられた東照宮がある。三代将軍家光の命により建立されたらしい。出たよ、将軍!さすがは岡崎だね。日光に比べたら、それはそれは小さいけれど、至るところに葵の御紋が光っていて、彫刻も美しい。ただ、濡れ縁の塗装が剥げていたりして、保存状態があまり良くないような・・・がんばれ、岡崎市。
仏がメインであるので、来てみるまでこんなに立派な本堂があるとは思っていなかった。もしも、京都あたりに建っていたなら、参拝客が大勢押し寄せてもおかしくないほどだと思う。
いよいよ宝物殿へ
わくわくしながら宝物殿へ入ると、会いたかった美仏が3体、美しく佇んでおられた。運慶作の仏像は31体現存するらしいが、そのうちの3体がここにある。すごいぞ、瀧山寺!そんな貴重な仏であるにもかかわらず、ガラスケースに入ったりしていないので、間近で拝観する事ができる。しかも、360度全方位からとは、なんという大盤振る舞い、なんという贅沢・・・
私たち以外にも数組が拝観に来たころを見計らって、ボランティアの方が説明をしてくださった。源頼朝の供養のために、いとこが運慶に作らせたそうで、800年の時を経ている。そのわりに、色彩が美しいのは、江戸時代に修復されているからである。修復時に漆喰が厚めに塗布されたため、運慶の彫刻の繊細さは失われているが、木造とは思えない質感と鮮やかな色彩が魅力だ。
中央の聖観音菩薩は、頼朝と同じ身長155cmで、体内には、頼朝の歯と毛髪(髭かも)が納められているらしい。細い指、衣の先に至るまで、ほとんど欠けたりせずに往時の姿で残っている。もはや奇跡。
右の梵天は、優雅に腰をひねって、その曲線美の素晴らしさ。顔が3つあるので、首からどのように生えているのかと、後ろに回って見てみた。現実ではあり得ない姿であるにもかかわらず、まるでこれが普通のことであるかのように、違和感なく表現されている。彫刻家の力量のなせる技だろうか。
左の帝釈天も、腰はひねっているが、梵天に比べると力強さを感じる。肌が金色で、より引き締まった印象の顔立ち。女性には、帝釈天が人気だという。イケメンだもんね、わかるわ。どれだけでも見つめていられる。
見ていて思ったんだけど、3体とも、天衣の裾が翻っていて、天衣が足の前部にぴったり張り付いている感じがするんだよね。衣服に動きが表現されているってことは、この方々は、直立不動で立っているのではなく、前に歩いてきているのではないのかな?って感じた。今まさに、私たちを救いにおいでになった、その一瞬を捉えた彫刻なのではないかと。そんなことを感じさせるほど、この仏像は存在感にあふれている。MJが推す美仏、なんて素敵なの。
それから、もう1体、十一面観音菩薩立像もぜひ見てほしい。鎌倉時代のもので、非常に手の込んだ細かい金細工が施されており、ボランティアの方によれば、快慶作、もしくは快慶の流れをくむグループの作の可能性もあるらしい。この仏像は、ライトを上からあてると慈悲深い表情に、下からあてると厳しい表情に見える。これは、うっすらそう見えるレベルではなく、それはもうはっきりと変化する。これは意図してなされたものなのか?800年前の彫刻家の技量には驚かずにはいられない。
すばらしい美仏にあえるわ、ボランティアの方のお話も聞けるわ、クイズで正解してポストカードもいただけるわ、近くにこんな素晴らしいお寺があるなんて知らなかった。大満足のうちに第1回の仏旅を終えた。
最後に、瀧山寺が紹介されている、みうらじゅんさんの見仏記をご紹介しておきます。
おーい、そろそろ寄り道しない?
ごめん、仏に夢中になってたわ。ZARAMEってカフェに行ってみよーよ