午前中、長谷寺を堪能した私たちは、次なる目的地、室生寺へ向かいました。
室生寺は、仏像も建物も国宝がたくさんあるし楽しみだなぁ
ご本尊は、キミの好きな如意輪観音だしね
仁王門から鎧坂へ
お寺から少し離れた駐車場に車をとめて、門前の茶店や旅館などが並ぶ道をお寺まで進みます。長谷寺に比べると、門前町は静かな印象。目指すお寺の姿が見えないなーと思ったら、お寺は門前町から川を渡った向こう岸にあるとのこと。朱塗りの太鼓橋を渡ると、やっと室生寺の入り口が見えました。
受付を過ぎると、仁王門に到着。近づくまで見えなかったので、森の中に急に現れる印象。新緑の中の朱色が美しい。
仁王門を過ぎると左手に金堂へ続く石段が現れます。鎧坂というらしいです。境内はもちろん整備されているのですが、長谷寺と違って、自然の森や樹木をそのまま生かしている印象があり、山深いところへ来たなと思わせられます。いかにも修業の場にふさわしい、荘厳な雰囲気が漂います。
それにしても、仁王門から石段にかけて、お城の枡形みたいに急に折れ曲がっているし、石段は「鎧坂」っていかめしい名前だし、室生川はお堀みたいだし、なんだかお寺だけど、要塞的な印象も受けるなぁ。
金堂・弥勒堂
鎧坂を登るにつれて、緑を背にした金堂の建物が見えてきます。登りきると、正面が金堂、左に弥勒堂(鎌倉時代)があります。弥勒堂には、奈良時代に作られた弥勒菩薩が安置されています。外からの拝観で中が暗いため詳しくは見えなかったのですが、大きめの優しいお顔が印象的でした。両手、天衣、瓔珞なども含めて一材で出来ているそうです。
続いて、金堂へ。弥勒堂より明らかに古そうだと思ったら、平安時代に建てられた国宝でした!!堂の外の通路部分が高床式になっています。ギシギシ音を立てる通路から金堂の内陣を拝観します。中尊は、こちらも国宝の釈迦如来立像。噂にたがわず、流れるような紋様の衣をまとった仏様は優美。
そして、楽しみにしていた十二神将立像。表情もポーズも、みんな違っていて、見ていて飽きない。むしろ、かわいい、愛らしいといっても過言ではない。ここで、やっと気が付いたのだが、十二神将なのに、半分しかいない。堂内が、以前写真で見たのとは違う印象なのは、そのせいだった。一番見たいと思っていた、未神はここにはいなかった。未神は、「今晩のおかず、何にしようかしら?」とでも言っているかのように、手を頬にあてて思案顔をしている、キュートな神像なのだ。
他の6神はというと、寶物殿に納められているらしい。堂内じゃ危険だから、仕方ないよね。でも、近くで見られるかもだし、後から寶物殿に行けばいいやと思っていたのですが、なんとコロナ禍で休館中・・・諸々調べてから行動しない私が悪いんですが、かなーりがっかりしました。
本堂(灌頂堂)
気を取り直して、境内を進むと、本堂(灌頂堂)が見えてきました。こちらも国宝!!はねあげられた格子戸の奥に、如意輪観音菩薩がいらっしゃいました。遠くからの拝観で、細部まではっきりと見ることはかないませんが、片膝をたててゆったりと座られ、6本の腕を優雅に構えていらっしゃるお姿は、見るものを穏やかな気持ちにさせてくれます。
座り方からしても、異国情緒が感じられ、なんかアンニュイな雰囲気の如意輪観音って、やっぱり好きだわ。
五重塔
本堂を過ぎると、五重塔が見えてきました。室生寺と言えば、この景色が有名ですよね。平安時代のもので、法隆寺に次ぐ古塔だそうです。総高は16.1メートルで、屋外の塔としては我が国で最も小さいそうです。でも、前の石段から仰ぎ見ると、とても大きく見えるので、そういう効果も狙って、この位置に建っているのかもなぁ。
奥の院 石段攻め
五重塔を過ぎると、奥の院への案内板が。見れば、道が少し下っている。せっかくだから行ってみるかと向かったら、この判断が甘かったー。途中から急な石段攻めが待っていました。長谷寺の石段とは真逆で、こちらはただただ苦行。途中、元気のいいちびっこに追い抜かされつつ、ゼーゼーと息を荒げ、だんだん辛くなる太ももの筋肉をなんとか動かした。
途中、「無明橋」という橋があるのだが、ここから先でもまだ370段余りの石段がある。周りには美しい花々があるわけではなく、目にするのはシダ植物ばかり。諦めたくなる気持ちと闘いながら、なんとか奥の院に到着した。
奥の院には岩場の崖にせりだして作られた懸造の位牌堂があり、そのお堂の縁側に座って、周囲の景色を見ながら、あがりきった息を整えました。登り切ったことに満足したことと、すでに夕方で、奥の院の閉門が近づいていたこともあり、あまりじっくり拝観できなかったが、弘法大師四十二歳像という木像が安置されている「御影堂」や、諸仏出現岩といわれる岩場があり、その頂上には七重石塔が建っていました。諸仏出現岩って何だろう??気になる・・・もしかしてパワースポットかしら??
そろそろ拝観も終了時間。帰らないと。
帰りは帰りで、石段が地味に膝にくるよね・・・
最後に、室生寺も掲載されている、みうらじゅんさんの見仏記をご紹介します。